北海道視察その1

2019.10.29 Tuesday

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    超乱文で読みにくい文章であることをまずはじめにお詫びしておきます。



    10月20日(日)北海道初日。

    7時前にバスに乗って

    関西空港へ行き

    新千歳空港を経て

    札幌から電車で

    雪が降る前触れに現れるらしい雪虫が舞う小樽駅で乗り継ぎからの

    13時に余市!(ここでも半端じゃなく雪虫が舞ってた)

    余市からはTwitter上でかつてからお付き合いのある家島直希さんに車でアテンドしていただきました!本当にありがとうございました。家島さんはご自身が飲まれたワインのコメントをブログに掲載しておられて、非常に読み応えがあります。また、現在新規就農の研修中で来年からワイン用ぶどうの苗木屋さんとして北海道で就農予定です。就農や苗木関連の記事も書かれており、特に苗木に関してはあまり情報が一般的に出回っていない中で、詳しい情報を掲載されているので一読の価値アリです!(家島さんのtwitterアカウント:@noir2010_chat,ブログ:https://hokkaidowinelover.com/)


    この日は余市町の食とワインのイベントが開催されており、まずはそちらに出向き、出店されていた中根酒店の中根さんとお会いできた。
    中根さんは余市で酒屋をされていて、取り扱いはほぼ日本ワインというこだわりっぷりだそう。リタファームさんの花火ニューマスカット、ドメーヌユイさんのポートランドを頂きながらお話を伺う。余市がいかにワイン用ブドウ栽培の適地であるかがお話から理解できた。また、地元のワインを取り扱われることに誇りを持っていらっしゃることも。あとは、シードルが美味いという話を伺って、この後の行程ではワインの他にシードルを探して回った(笑)お隣にいらっしゃった茅根さん(町議会議員)との掛け合いも面白く、茅根さんご自身もツヴァイゲルトレーベのジュースを販売されており、それが濁り過ぎているんじゃねーか?という中根さんのコメントなど(笑)ジュース自体はキリっとした酸味でとても美味しかったです!!!


    ここで登壇後のワインカフェヴェレゾンの荒井さんと出会い(1回目)、イベント終了まで同席させていただけた。他には、余市町長が「テロワール」という言葉を挙げてらっしゃったことから余市にワイン産業が根付いていることが伺えた。また、ローカルなイベント独特のアットホーム感があってなんとも良い雰囲気で、外から来ても居心地の良い場所だと思った。同い年の三重出身の農家さんとも出会えて、道外から新規就農して数ヘクタールの果樹をやっていると聞いて感心した。


    その後、余市の通称グランクリュ通り(?)のドメーヌユイさんのところに。杉山さんの旦那さんに出迎えていただき、去年の赤ワイン、白ワイン、ジュースを試飲させていただく。ワイン自体が非常に人気なのとツイッターで活動を拝見していたので是非飲んでみたかったのです。試飲してみるといずれも評判通り美味しいのに加えて非常に綺麗でバランスの良い造り。杉山さんご夫妻がこれから造っていこうとされているワインの方向性や、持っていらっしゃる技術や知識水準の高さがうかがえた。


    次に一年目の苗木が植わる畑をみせていただく。当たり前のことかも知れないが垣根の列がまーっすぐで、草もしっかり刈られている。(私の畑は垣根は突貫工事でちょっと歪んでいて草もボーボーなのです……(笑))列からはみ出している苗があると、機械を入れるときにひいてしまうから、一度抜いて列に揃うように植え直すとおっしゃっていたことには驚いた。

    成長の具合が短い苗木もあったことには少し安心した。というのも、ぶどう苗は初年度の成長が重要だという説には納得しているところもあるけれど、うちにある苗でも最初の年の成長具合が短いものが結構あるのです。特に水分管理によるところが大きいと思っています。水を切らさなければ大きくなると思う。初年度は根さえある程度張っていればそこまでグングン伸びない方が良いのでは?という考えもありまして、徒長すると組織が粗で虫が入りやすくなる気がする。(虫が入ると徒長するのかも知れない?ですが)時間はかかるけれどゆっくり密な組織をつくって行く方が良い葡萄が収穫できる気がする。やはり関西にいると情報が少なく、周りのぶどうを作ってらっしゃる方は生食用を作られている方ばかりで、初年度から大きく育てるやり方が一般的で実際どうなんだろうと思っていたのです。ただ、この話は全くしなかったので意見を伺えば良かったなあと後で思いました(笑)

    しばらくしていると畑に杉山さんの奥さんと3人の娘さんも来られました。奥さんが来られると、日本でワイン用ぶどうのクオリティを求めるなら垣根か棚かの論議に。先に僕の現時点の意見を述べておくと、「どちらの可能性もあるからどっちもやってみて自分の目で確かめていこう」である(笑)どちらの説も妥当性があるし、どちらも間違っていないと思うのです。ざっくりとした表現になりますが気候、土壌やぶどう品種、クローン、管理する人間の手技による(テロワール?)と思っています。

    でも密植という方向性は正しい気がしていて、「木一本辺りの収量が少ないほど良いものが取れる(ホルモンバランスを適切に管理できている場合)」気がしています。理由を詳しく言うのは知識と経験不足な私にとって難しいのですが、粗植で施肥や灌水をして太い枝からなる房のぶどう果粒の肥大を目指す生食用の方法と逆ベクトルにいくのに妥当性を感じています。あとこれは本当になんとなくですが1本の木がぶどうの粒に運べる香りの要素の総量はある程度決まっていて房数を絞れば残った房に香り要素が割り振られるのではないかなというイメージもしています。棚でそこそこ密植の良いとこどり栽培が良いのかも?棚で樹勢のおさまった古木で密植できればベストな気も。都農ワイナリーの仕立て方に可能性を感じております。

    杉山さんも新規の畑は垣根で、棚はかつてからある既存の畑で、栽培してらっしゃるので、なんとなく同じ境遇だと思います(私の方が規模が圧倒的に小さいですが)ワイン用ぶどうは垣根でつくるという固定概念に疑問を持ちつつとりあえずどちらもやって確かめていかれるのかなあと思いました。個人的には10年後に、「余市では棚でつくった方がピノ・ノワール美味いねん!」ってなってたら面白いなと思っています(笑)


    以下、杉山さんとお話した内容+一般論+私の自論(ごちゃまぜです)

    棚支持論(垣根否定論)
    垣根で無理に密植しなくても粒の小さいクオリティの非常に高いぶどうが棚である程度樹冠を広げても実際作られているという例もある。
    そもそも垣根で密植しても通路にも根は張るし、ぶどうの根同士で根域を競合させることは現実的ではないということも。
    日本で垣根にしても根は深くまで伸びない。
    垣根では水分量の多い日本では樹勢が強くなりすぎて、生殖成長に向かない。
    ポルトガルでも棚式でされている。
    地面から離れている方がぶどう付近の湿度が低く、病気にかかりにくい。
    昔から日本でされている方法で、先人が試行錯誤の末にたどり着いたやり方なので棚式の方が良いはずである。
    単位面積当たりの葉面積が大きい。


    垣根支持論(棚否定論)
    密植が可能。
    ぶどうの粒が小さくなり密着果粒となることを防げる為、クオリティ面、耐病性の面でメリットがある。
    根がひしめきあって競合するので根が深く張る。
    伝統産地は垣根式が多い。
    日本で昔からされている棚式栽培は生食用の方法であることに加えて、限られた栽培面積での収量を最大化する方法である為、ワイン用としてクオリティを求める場合に適切とは限らない。

    などなど。

    こういう話が大好きなのでテンションが上がりました(笑)

    あとは、周りの農家さんやワインの造り手の方々との関わり、マーケティングに関して、醸造に関して、他のワイナリーの取組みに関してのお話などなどを。先人から知恵を受け継ぎ、仲間と切磋琢磨しておられることがひしひしと感じられました。積雪などのご苦労も多いと思いますが、ワインを造る文化が醸成されていることを身をもって感じられました。もっとお話を伺いたかったのですが、日が暮れかけてきて次の予定があり去ることに。娘さんの元気の良い「バイバーイ!」という挨拶に見送られつつ。


    この日最後の訪問は、仁木町のル・レーヴの本間さんの元に。

    辺りはかなり暗くなっていて畑をしっかり拝見できなかったのが残念。ワイナリーの前は40aを造成されたところで来年苗木を植えられるとのこと。10aのまとまった畑もなかなかない奈良県民の私は流石北海道、規模が違うぜ……とここでも思いました(笑)

    ワイナリーは、バーと宿泊施設を併設されており、目の前のぶどう畑を眺めながらワインを楽しむことができ、ワイン好きな人は勿論、幅広い層の方が楽しめるように。昔からある大きなワイナリーでないとここまでお客さんが楽しめる仕組みは難しいという風に考えていましたが本間さんは新規就農しながらもそこまで拘ってされていらっしゃるということに驚きました。今年までは10Rで委託醸造。収穫量も順調に増やしていらっしゃるとのこと。

    こちらの畑はドメーヌユイさんの垣根と比べても密植。本間さんの畑は余市の方と比べて土壌養分が少ないので密植できるようで、今後つくられるワインが非常に楽しみなのと同時に、ただ飲むだけでなくワイナリーまで伺って堪能したいと思いました!

    お忙しい中わざわざ時間をつくっていただいたので、短時間でしたが大変勉強になりました。

    ちなみにこの日の夜は余市のゲストハウスで、収穫ボランティアの方と杉山さんや本間さんを含めた生産者の方々が集まるそう。杉山さんにお誘いいただいてめちゃくちゃ参加したかったのですが札幌でホテルを予約していたりで断念。



    家島さん、杉山さんご夫妻、本間さん、収穫や仕込みで本当にお忙しいところお時間を作っていただきありがとうございました!!!



    次に北海道に来る時は収穫ドンピシャの時期ではないときか、収穫を思いっきり手伝えるようにして参ります!!!

    ここまで読んでくださった方もありがとうございます!!!
    写真はドメーヌユイさんの定植予定地から望む余市の葡萄畑。
    続く

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